事務局便り(in 兵庫県姫路市 為金牧場)
7月6日、西播地方連盟の為金牧場にうかがいました。
為金さんは、姫路市で唯一の酪農を営んでおり、2011年につなぎ牛舎からフリーストール牛舎へ切り替え、搾乳ロボットを導入しました。
為金牧場は牛舎設計、飼養管理、乳質等、素晴らしい酪農経営をされており、数多くの賞を受賞されています。
為金さんは「あまり他人に見せるのは好きではない」と積極的な見学の受け入れはされていませんが、今回、無理を言って見学をさせていただきました。
まず、初めに驚いたのは、その牛舎設計です。
牛舎には壁面がなく、牛の前にはパイプが1本通されているのみで、「牛が逃げ出さないのだろうか?」と不思議に感じます。おそらく、それだけ牛が心地よく過ごすことが出来ているという証拠なのだと思います。
2つ目の驚きは、敷料のおが粉の多さです。
搾乳牛はもちろんのこと、育成・乾乳牛がいるフリーバーンでは、ふんだんにおが粉が敷いてあり、牛達も快適そうに横たわっていました。
為金さんの奥さまも「ヘルパーさんには「もっとおが粉をたくさん敷いてください」ってお願いするんですよ。」と笑います。
敷料のおが粉もこだわり抜いており、おが粉は製材所から国産のスギ・ヒノキを指定して購入しています。全体的におが粉をふんだんに使用し、ふかふかの牛床作りを心掛けられています。さらに、頭の部分を高くして寝心地がいいようにしています。朝・晩、1日2回、全部交換します。
「もったいのでは?」とたずねると、「牛を寝かせないといけない。牛を休ます。その為にはおが粉はケチケチしない」と為金さんは言います。
3つ目の驚きは、途切れることなく搾乳ロボットに牛が入っていくことです。
搾乳ロボットは、常時稼動しており、待機場には3~4頭の牛が順番待ちをしています。
為金さんご夫妻は私たちの見学に付き合って下さり牛舎には誰1人いませんが、牛達は順番に搾乳ロボットに入って行き、搾乳ロボットが稼動していない時はありません。
そして、さらに驚いたことは「2011年の搾乳ロボット導入以降、不適合牛は1頭も出ていない。」ということです。
牛が快適に過ごせるように・・・為金さん夫妻は、課題にぶつかる度に試行錯誤を繰り返し、課題解決に努められてきました。
その結果が、今の牛舎であり、飼養管理の方法なのだと感じました。そして、少しではありますが、その一端をご紹介させていただきました。
為金さんとお話すると必ず「楽をする為にロボットを入れたんやない」という言葉が出てきます。
その背景には、常に牛を観察し、牛舎を清潔に保ち、牛の快適性を第一に考え、1日中、牛舎の清掃、給餌、飼料作、と休む間を惜しんで仕事をされている為金さんがいらっしゃるのだと改めて感じました。
為金さん、奥さま、お忙しい中、お付き合いいただき、ありがとうございました。
またお目にかかれることを楽しみにしております。
事務局 横山 記