第74回日本酪農研究会 福岡市(博多)にて開催!! ~全国より約280余名が参集し交流を深める!!~

2023年11月14、15、16日に、日本酪農青年研究連盟主催の第74回日本酪農研究会が、農林水産省をはじめ多数の関係団体の協賛・後援のもとに福岡市博多区のホテルオークラ福岡にて開催されました。
全国から約280余名もの盟友および関係者が参集し、有意義な情報交換の場となりました。
開会式では、農林水産省九州農政局 渡辺裕一郎様(畜産局長祝辞代読)、福岡県農林水産部長 重吉俊二郎様(福岡県知事祝辞代読)、ふくおか県酪農業協同組合 代表理事組合長 中島清様(ご本人祝辞)、雪印メグミルク㈱代表取締役社長 佐藤雅俊様(ご本人祝辞)、雪印種苗㈱代表取締役社長 笠松宏一様、学校法人酪農学園にご臨席賜り、酪青研会員に対する激励のお言葉をいただきました。
研究発表大会においては6題の発表があり、それぞれのおかれた経営環境の中で経営改善に努力される姿が披露され、継続可能な酪農経営に向けた施策や目指すべき方向性をなど、今後各人が酪農経営を進める上でとても参考になるものでした。また5題の意見事例発表からは次世代を担う後継者の方々の思いを伺うことができ、参加者一同とても勇気づけられました。
発表会後の講演会ではアルピニストの野口健氏をお招きして、「目標をもって生きることのすばらしさ~モチベーションを持ち続けるために~」と題して、どのように目標を定め、取り組んできたかをご自分の経験に基づきお話しいただきました。
今回の大会は、コロナ感染症が5類に移行された後の初めての大会であり、多数の会員が参集し積極的に意見交換する等、酪青研会員の絆を再認識し、酪農経営における課題や改善に向けた取り組みや成果について学ぶ貴重な機会となりました。
【経営発表結果】
<最優秀賞(黒澤賞)>カメレオン酪農~環境変化にしなやかな酪農経営を目指して~
八ヶ岳地方連盟 富士見研究会 五味英介 君

<優秀賞> 酪農情勢に動じない安定した経営
福岡県連盟 糸島研究会 波多江浩一 君

<改善賞> 放牧酪農で安定生産~新規就農7年間の推移~
八雲地方連盟 八雲研究会 森田洋平 君

<努力賞> ICT技術を活用しての酪農経営
西部十勝地方連盟 新得研究会 岡田知之 君

<奨励賞> 無理なく健康で、楽しい酪農経営
仙北地方連盟 志波姫研究会 富塚光言 君

<奨励賞> 地域を支える我が家の経営
岡山地方連盟 津山研究会 中村宏之 君

<太田賞> 酪農情勢に動じない安定した経営
福岡県連盟 糸島研究会 波多江浩一 君

【意見事例発表】
〇結果は後から付いてくる~母の視点で牧場経営~
福岡県連盟 久留米地方連盟 田中衣里子 さん

〇小さな喜びを積み重ねる酪農家のメンタリティ
神戸地方連 神戸研究会 永田正樹 君

〇失敗から学んだ牧草栽培~ソルガム・スーダンで飼料価格の高騰を乗り切る~
新潟地方連盟 新潟研究会 井上智啓 君

〇地域への恩返し~酪農は一人ではできない~
青森県連盟 東北町研究会 鳥谷部大地 君

〇MY DREAM
興部地方連盟 沙留研究会 支倉愛美 さん
※協議会会長賞は支倉さん

【檜尾委員長挨拶】
第74回 日本酪農研究会の開会にあたり、主催者を代表しまして、一言ご挨拶申し上げます。
本日は農林水産省、福岡県庁をはじめ、各関係団体のご支援・ご協賛を頂き、また大変お忙しい中、ご来賓、審査委員の皆様のご臨席を賜りまして、このように盛大に日本酪農研究会を開催できますことを、心より御礼申し上げます。

さて、今日、慢性的な円安基調や、国際情勢の影響による穀物、資源の価格高騰、更には個体販売価格の下落等により、我々酪農家はまさに「令和の酪農危機」とも言われる厳しい局面に立たされております。国による関連対策の強化や、乳価の引き上げにより、酪農経営は徐々に改善の方向に向かっているものの、牛乳乳製品価格の上昇による消費マインドの低下懸念など、需要動向に対する不安要素も多く、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 日本経済はポストコロナへの移行に伴い、内需主導による景気回復と賃金上昇による、消費者の購買意欲の高まりが期待されております。一方、我々酪農家に対しては、安全安心な牛乳乳製品の安定供給、持続可能な酪農への取り組み強化が求められております。酪青研も時代の変化に対応できる経営力の強化や、営農技術の向上への対応が急務であり、そのためには我々の原点である研究活動をより一層充実させるべきであると考えます。

 本大会では経営発表6題、意見事例発表5題の演題が披露される予定ですが、昨今の厳しい環境下において、切磋琢磨する盟友の姿は、私たち酪農家の経営向上に対する意識を高め、酪農への情熱を共有し、明日に向かう勇気を与えてくれるものと確信しております。
また、今回は特別講演として、アルピニストの野口 健 氏をお迎えし、ご自身の経験に基づき、目標を持って生きることの素晴らしさについてご講演頂く予定であります。盟友の皆さんにとって対するエールになることを期待しております。

 結びになりますが、特に九州はこれまで様々な自然災害や家畜伝染病など、幾多の困難を乗り越えてきた地域であります。令和の酪農危機に直面する我々にとって、福岡で開催される本大会が、輝かしい未来に向かう象徴的な大会となりますことを祈念しまして、開会のご挨拶とさせていただきます。