沖縄県にて「酪青研レディース全国の集い」を盛大に開催!

年度末押し迫る3月29日から31日の3日間、酪青研レディース全国の集いを沖縄県にて開催しました。本研修会は今回で9回目となりますが、ここ沖縄においては2010年の第5回研修会以来13年振り2度目の開催となります。当初、会期を通じて大雨の予報であったため、今回参加した総勢23名(内、会員20名、事務局3名)は一様に諦めモードでの現地入りとなりましたが、実際に那覇空港に到着してみると小雨程度に落ち着き、翌日には晴れ間が見えるまでに回復するなど、改めて参加者の運の強さを実感しました。
1.研修初日(3/29)
初日は14時に空港に集合し、前日入りした8名と那覇市内で合流した後、最初の視察先である「沖縄県酪農農業協同組合」に向かいました。同農協は沖縄県南部の八重瀬町に位置する酪農専門農協で、沖縄県の指定生乳生産者団体でもあります。
冒頭、橋本団長(日本連盟常任委員)と神谷組合長にご挨拶を頂いた後、香村参事の進行により座学研修がスタート。沖縄本島は小さな島ですが、そのような中でも生産者戸数46戸、経産牛2,260頭が存在し、年間約19,000tの生乳が生産されていることを改めて知りました。一方、生乳の流通はほぼ県内で完結しその約半分が学校給食向けであるため、春休みや夏休みの需給管理が難しいとのことです。また沖縄酪農は亜熱帯気候に属する過酷な気象条件下であることに加え、特に県内の預託牛頭数の上限は浄水施設の処理能力に左右されるため、逆算すると300頭程度しか扱えないことや、本島の南部に集中する沖縄酪農にとって、都市化を背景に堆肥処理が大きな課題であるなど、現地ならではの諸事情を知ることができました。
後半は導入牛に関する話題にも話が及び、北海道から1車15頭積載で鹿児島まで3日間、更に本島までフェリーで1日かけて運んでいる実態をお聞きし、参加者からは「1頭当たりの運賃は?」、「このような長距離輸送でも牛は大丈夫?」などの質問が上がりました。更に香村参事からの沖縄名物や観光の見どころなどの情報でも盛り上がり、終始和やかな雰囲気の下、農協を後にしました。
その後は、那覇空港に程近い瀨長島の観光スポット「ウミカジテラス」に向かう予定でしたが、生憎の小雨交じりの天候ということもあり、急きょ国際通り方面に舵を切り、各々ショッピングを楽しんでから夕食会場の「ステーキレストラン碧」に向かうことにしました。このレストランは女性スタッフのみで切り盛りする地元の名店で、目の前で最高級の石垣牛を焼き上げる演出もさることながら、季節の野菜や沖縄風ぜんざいなど充実のメニューは圧巻で、参加者一同大満足の夜となりました。
2.研修2日目(3/30)
2日目は那覇市から1時間半ほど北上し、「沖縄市美里酪農団地組合」に向かいました。ここでは隣接する2戸の酪農家(高宮城牧場、登川牧場)と堆肥処理施設を、昨日の座学研修でお世話になった香村参事にご案内頂きながら見学しました。
この酪農団地組合は昭和57年頃に沖縄県の基地周辺整備事業で酪農団地として建設されたとのことですが、米軍の嘉手納基地の目と鼻の先にあり、一日に何度も戦闘機の爆音が響き渡る過酷な環境です。現地を訪れてまず目に入ったのが南国特有の開放型の牛舎と、周囲の騒音をものともせず平然と過ごす牛たちです。牛舎はとても頑丈な造りで、台風などの自然災害に十分耐えられる構造になっていました。沖縄県は梅雨入りから11月頃までは高温多湿の環境下で昼夜の気温差が少ないことから、無数の大型送風機が等間隔で設置されており、牛床にはゴムチップマットを敷き常に乾燥した状態を保つなど、暑熱対策や衛生管理にかなり力を入れている様子でした。また、牛舎には搾乳牛とは別に和牛素牛も飼養されており、乳肉を複合しながらのリスク分散と地域の預託センターや自家育成を活用する形でコスト削減を図っているのが特徴的でした。
その他、沖縄県南部は牧場と共に住宅地が集中するため、臭気対策等の影響から牧場まで車で通勤することや、夜間の分娩の際には酪農団地に宿泊することがあるなど団地ならではの話を伺いました。牧場内にはバナナやハイビスカス、ブーゲンビリア等の観葉植物や南国の植物が咲き乱れ、常夏の雰囲気が感じられました。
最後に敷地内にある堆肥処理施設の処理行程を見学させて頂きましたが、ここで生産された堆肥は「美酪有機」という商品名で県内のホームセンター等でも販売されており、10㎏あたり300円の格安価格に、皆口々に「お土産に買って帰りたい!」と連発していました。
牧場視察後は高速道路で名護市方面に北上し、沖縄の古民家風レストラン「百年古家 大家」でソーキソバを堪能。ここで改めて参加者全員が簡単なエピソードを交えて自己紹介を行ない、互いの交流を深めた後、今回の観光の目玉である「美ら海水族館」に向かいました。
沖縄に入る前の週間天気予報では土砂降りの予報だった研修2日目ですが、午前中から晴れ間が見え始め、美ら海水族館に到着した頃には沖縄らしい青い海を臨むことができました。
ここでは高さ8.2メートル、幅22.5メートルの巨大水槽に展示されている世界最大の魚類である「ジンベイザメ」や世界初の繁殖に成功した「ナンヨウマンタ」をはじめ、沖縄の海を彩るサンゴ礁やそこに暮らす魚たちの姿に魅了されながら各々の時間を過ごしました。
その後は今帰仁村にあるハートロックで有名な「古宇利島」の観光に行く予定でしたが、運悪く那覇市周辺の通勤ラッシュの時間帯と重なってしまい、このままでは夕食の時間に間に合わなくなるため、早めに那覇市内に戻り国際通りを経由する形で夕食会場に向かうことにしました。
夕食は島唄ライブを観られる沖縄地料理の店でしたが、名物のソーキ煮やアグーの塩焼き、海ぶどうサラダなどの地料理と、海鮮の盛り合わせを囲みながら現地の雰囲気に酔い痴れました。今回は2泊3日の研修ではありましたが、実質的には最終日は朝から自由解散となるため、その後は国際通り周辺で買い物を楽しんだり屋台村で飲み直したり、思い思いのスタイルで最後の夜を楽しみました。
3.研修を振り返り
ようやく新型コロナの影響も落ち着きはじめ待ちに待った酪青研レディース全国の集いは、お陰様で事故も無く怪我も無く終了することができました。今回参加された方の多くは前回の沖縄研修のリピーターでしたが、初参加の方もすぐに打ち解け合い、最終日にお互いグループラインを交換し合う光景を目にすることができたことは、何よりも大きな成果であったと思います。
酪農研修においては地元沖縄県酪農協との交流を通じ、日頃接することの少ない沖縄県酪農の実情を知ることができ大変有意義なものでしたが、観光面においては急きょ予定変更が生じるなど課題が残る結果となりました。今後はこれらの反省点を踏まえてより良い企画の提供に努めて参ります。
最後になりますが、今回の研修会の開催にあたりご協力を頂きました参加者の皆様方、担当協議会事務局の皆様に心より感謝を申し上げます。
日本連盟事務局記